外壁塗装で塗料を厚く塗れば長持ちする?「適正膜厚」の重要性

「たくさん塗る」より「正しく塗る」

 外壁塗装についてお客様とお話ししていると、「塗料は厚く塗ったほうが長持ちするんじゃないの?」という疑問を持たれることがあります。
確かに、塗料は外壁を雨や紫外線から守る「塗膜」になるため、薄いより厚いほうが丈夫そうに感じます。
しかし、外壁塗装では「厚く塗れば塗るほど良い」というわけではありません。
塗料には、それぞれメーカーが定めた標準塗布量や適正な膜厚があり、その範囲を守って施工することが重要です。
今回は、外壁塗装における「膜厚」とは何なのか、なぜ厚く塗りすぎてもいけないのか、そして適正な膜厚で施工することがなぜ大切なのかについて詳しく解説します。

膜厚とは、塗料を塗ったあとに形成される塗膜の厚さのことです。
外壁塗装では、下塗り、中塗り、上塗りと工程を重ねることで塗膜を形成していきます。
それぞれの工程には役割があり、仕上げ塗料についてもメーカーによって推奨される塗布量や塗り方が設定されています。

例えば、同じ面積の外壁でも、使用する塗料の種類や下地の状態によって必要となる材料の量は変わります。
そのため、単純に「塗料をたくさん塗る」という考え方ではなく、その塗料を本来の性能が発揮できる状態に施工することが重要になります。

塗膜が厚くなれば、その分だけ丈夫になりそうに感じます。
しかし、塗料には適正な塗布量があります。
必要以上に厚く塗ってしまうと、塗膜の内部まで均一に乾燥・硬化しにくくなったり、塗膜にひび割れや膨れなどの不具合が発生する原因になったりすることがあります。

特に一度に大量の塗料を塗る「厚塗り」は注意が必要です。
塗料は表面から乾燥していくため、表面だけが先に乾いて内部の乾燥が追いつかない状態になることがあります。

その結果、塗膜の状態が安定しない場合があります。
つまり、外壁塗装では「厚ければ強い」ではなく、「塗料に適した厚さに仕上げる」ことが大切なのです。

もちろん、厚塗りだけが問題なのではありません。
塗膜が薄すぎる場合にも注意が必要です。
塗料には、紫外線や雨水などから外壁を守り、仕上げ材として本来の性能を発揮するための適切な塗布量があります。
必要な量が確保されていなければ、塗膜の耐久性や隠ぺい性、仕上がりに影響する可能性があります。
特に外壁の吸い込みが強い場合は注意が必要です。

モルタル外壁に下塗り材を施工したところ、外壁がかなり材料を吸い込む状態でした。
このような外壁では、単純に「ローラーを一度通したから下塗り完了」とするのではなく、材料の吸い込み具合や外壁の状態を確認することが重要です。
外壁塗装では、塗料を塗ることそのものよりも、「その外壁に対して塗料がどのような状態になっているか」を見ることが大切です。

ここで覚えておきたいのが、すべての塗料に同じ膜厚が適用されるわけではないということです。
塗料には、水性・溶剤系、シリコン・フッ素・無機系などさまざまな種類があります。
さらに、下塗り材と仕上げ塗料でも役割が違うため、必要な塗布量や施工方法も異なります。
そのため、職人の感覚だけで「これくらい塗ればいい」と判断するのではなく、使用する塗料のメーカー仕様を確認し、それに合わせて施工することが基本になります。
メーカーが設定している塗布量は、その塗料が本来の性能を発揮するための重要な基準です。

外壁塗装では「膜厚」と一緒に「塗布量」という言葉も出てきます。
この2つは似ていますが、意味は同じではありません。
塗布量は、一定の面積に対してどれだけの塗料を使用するかという考え方です。

一方、膜厚は実際に形成された塗膜の厚さを指します。
実際の現場では、外壁の凹凸や吸い込み、塗料のロスなどもあるため、単純に塗料を塗った量だけで完成した膜厚が決まるわけではありません。
だからこそ、メーカーが指定する塗布量を守りながら、下地の状態に合わせて施工することが重要になります。

外壁には、平らなサイディングだけでなく、モルタルのように凹凸のある仕上げもあります。
凹凸が大きい外壁では、平滑な外壁と比べて塗料が均一に付きにくいことがあります。
ローラーを転がしても、凸部には塗料が付きやすく、凹部には入りにくい場合があります。

そのため、外壁の模様や凹凸を確認しながらローラーを動かすことが重要です。
特に細かな凹凸があるモルタル外壁では、塗料の吸い込みと表面形状の両方を考慮して施工する必要があります。
同じ「1回塗り」でも、外壁の状態によって塗料の付き方は変わるのです。

外壁塗装では、一般的に下塗り、中塗り、上塗りという工程で施工します。
下塗りは、外壁の状態を整え、仕上げ塗料との密着性を高めたり、外壁の吸い込みを調整したりする重要な工程です。
中塗りと上塗りでは、仕上げ塗料による塗膜を形成していきます。
ここで重要なのは、「3回塗る」という回数だけを見るのではなく、それぞれの工程を適切な材料・塗布量・乾燥時間で施工することです。
3回塗ったから必ず高品質になるという単純な話ではありません。
逆に、必要な工程を省略してしまえば、どれだけ高価な塗料を使用しても本来の性能を発揮しにくくなります。

適正な膜厚をつくるためには、塗料の量だけでなく乾燥時間も重要です。
塗料には、塗り重ねるまでに必要な乾燥時間が設定されています。
下の塗膜が十分に乾燥していない状態で次の工程へ進んでしまうと、塗膜の状態に影響する可能性があります。
また、気温や湿度などの環境条件によって乾燥の進み方も変わります。夏場の高温時や湿度の高い日、冬場の低温時などは、同じ塗料でも乾燥条件が変わります。

そのため、現場では天候や気温、湿度なども考慮しながら施工を進めていきます。

外壁塗装で大切なのは、塗料を大量に使うことではありません。
その外壁の状態を確認し、使用する塗料の仕様を理解したうえで、適切な塗布量と工程を守って施工することです。

例えば、外壁が塗料を吸い込みやすい場合には、下塗りの段階でその状態を確認します。表面の凹凸が大きければ、ローラーの動かし方や材料の入り方にも注意します。
そして、下塗りが適切な状態になったことを確認してから、次の工程へ進みます。
こうした積み重ねによって、最終的な塗膜の状態が整っていきます。

近年は、シリコン、フッ素、無機など、さまざまな高耐久塗料が販売されています。
高性能な塗料を選ぶことはもちろん大切です。
しかし、どれだけ性能の高い塗料を選んでも、下地処理が不十分だったり、指定された塗布量を守らなかったり、乾燥時間を確保しなかったりすれば、本来の性能を十分に発揮できない可能性があります。
塗料は、缶に入っている状態ではまだ「材料」です。外壁の状態に合わせて適切に施工され、はじめて外壁を守る塗膜になります。
だからこそ外壁塗装では、「どの塗料を使うか」と同じくらい「どのように施工するか」が重要なのです。

外壁塗装では、「塗料は厚く塗れば長持ちする」というわけではありません。
塗料にはそれぞれ適正な塗布量や施工方法があり、その範囲を守って施工することが重要です。薄すぎれば十分な塗膜を形成できない可能性があります。
一方で、必要以上に厚く塗れば、乾燥不良やひび割れ、膨れなどの不具合につながる可能性があります。
大切なのは、ただ厚い塗膜をつくることではなく、外壁の状態を確認したうえで、塗料メーカーの仕様に沿って適正な塗布量・膜厚・乾燥時間を守ることです。
そして、そのためには外壁の状態を見る力と、材料の特性を理解した施工が欠かせません。
外壁塗装は「何回塗ったか」や「どれだけ厚く塗ったか」だけでは判断できません。

下地処理から下塗り、中塗り、上塗りまで、それぞれの工程を適切に行い、塗料本来の性能を引き出すことが大切です。

リフォームかがやきでは、外壁の状態を一つひとつ確認しながら、使用する材料の特性を考え、適切な施工を心がけています。
見えなくなってしまう下塗りや塗膜の厚さまで丁寧に考えることが、長く外壁を守るための大切な施工につながります。

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